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改製原戸籍の取得

被相続人に関する一生分の戸籍が必要

 

 相続が開始されたときにまず必要なのが、『相続人』と『相続財産』を確定させることです。
 原則として、配偶者、子ども、子どもがいない場合は両親、両親もいなければ兄弟姉妹が相続人となるため、まずは被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続した全戸籍を取得して相続人の存在を調べなければなりません。
 さらに、相続人に該当する子どもが被相続人よりも前に死亡している場合には、代襲相続が生じます。この場合は孫の存在を調べなければならないため、相続人の一生分の戸籍(除籍謄本、原戸籍、戸籍謄本)も必要となってきます。

 

相続人確定のためには『改製原戸籍』も必要

 

戸籍は法改正の際につくり直され、その前の古い戸籍を『改製原戸籍(または原戸籍)』と呼びます。相続人を確定する際には、被相続人や相続人の一生分の戸籍に加えて、この改製原戸籍も取得しておかなければなりません。 
 なぜなら、改製が行われる時点で婚姻、離婚、死亡などの理由で戸籍から抹消されていた場合、改製後の戸籍にはそれが引き継がれていないためです。改製原戸籍がなければ、婚姻や死亡などの事実確認ができない可能性があります。
 では、取得に際してどのような注意点があるのでしょうか。

 

改製原戸籍の取得には手間も時間もかかる

 

 相続手続きに欠かせない改製原戸籍。実は、その取得にはかなりの手間や時間、費用がかかるので注意したいところです。
 たとえば結婚や離婚、引っ越しなどで本籍地を移転していれば、それだけ取得する戸籍が増えることになります。相続人が多い家族や、結婚、離婚を繰り返して家族関係が複雑な家庭などでは、取得に数カ月かかることも珍しくないのです。
 また、市町村の統廃合があった場合、管轄の役所を確定すること自体が大変なこともあります。
 相続税の納税期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月ですが、この改製原戸籍の取得が遅れてしまったがために相続税の申告期限に間に合わなかったというケースもあります。相続準備は早めに着手するようにしましょう。