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「息子の嫁」 に遺産をあげたい場合の 4つの対策

 配偶者と子供がいる場合、法定相続分は配偶者と子供が1/2ずつとなります。つまり、子供の配偶者(息子の嫁、娘の婿)には相続権が

ありません。たとえ息子の嫁が家業を手伝ったり、身の回りの世話をしてくれたり、いろいろ役に立っている存在でも(あるいはその逆でも)、相続までに何のアクションも取らないと、一切遺産が渡りません。では、息子の嫁にも遺産を残したいときはどうすればいいのでしょう。考えられる対策は4つあります。

 

1.遺言による遺贈

 遺言を作成し、たとえば「長男の嫁・○○に△△を遺贈する」という旨を記しておくことです。なかでも公正証書遺言で記しておくと信

頼性が高く、遺言内容が実現する確率が高まるでしょう。

 

2.息子の嫁と養子縁組する

 養子縁組をすることで、民法上では息子の嫁と親子関係になります。すると、法定相続人のひとりになり、遺産が渡るようになります。 ただし、息子夫婦が離婚した場合、離婚手続きとは別に、養子縁組解消の手続きを取る必要があります。そうしないと、離婚しても親子関係は継続し、相続権が残ったままになります。この状態で相続が発生すると、高確率でトラブルになるでしょう。

 

3.生命保険の受取人にする

 生命保険金の受取人を息子の嫁にしておくと、感謝の気持ちがスムーズにかたちとなるでしょう。 ただし、息子の嫁は法定相続人

ではないので、「500万円×法定相続人の人数」という「死亡保険金非課税枠」が適用されません。

 

4.生前贈与する

 息子の嫁に、ダイレクトに生前贈与することで、遺産が渡るようになります。金額によっては贈与税がかかる場合がありますが、

相続しない息子の嫁への贈与は、死亡前3年以内の相続財産に加算されません。 ただし、息子の嫁が、遺言で遺贈により財産を取得したり、養子縁組で法定相続人となり、結果的に相続もしくは遺贈により財産を取得すれば、相続開始前3年以内の加算の対象となります。

これは相続3年以内加算されるのは、相続(遺贈)により財産を取得した人に限られるからです。 このように、息子の嫁にも遺産をあげたい場合、何かしらの対策が不可欠です。